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#106 周回遅れの RIDEBACK [その他 バイクに関係あること無いこと]

今日のは、長いよ。

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2003年に月刊IKKI・小学館にて連載開始。
http://www.ikki-para.com/comix/rideback.html

2009年にテレビアニメ放送開始。
http://www.mxtv.co.jp/rideback/


周回遅れだ。

私はそもそも周回遅れで先頭を突っ走る人間なのだ。
しかも何周も遅れて。

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テレビアニメの RIDEBACK について感想を。

観たのはDVD版。
先日、購入。
新品・正規ルート。

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映像作品として、とても良くできたオープニングと、まずまずの第1話が特徴的な作品だと思う。

画面の構図、空白や空間の創り方、カメラワーク (アニメーションでもカメラワーク?)も良い。

そして「売れる映像」を意識して創り出したように見える。
すなわち演出だ。
私はこの演出に惹かれてしまったのだろう。


夜の自動車道。うっすらと明るくなる空が見える。

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タイトルを大写し。
「RIDE」の文字を目に焼き付けることで、バイクのイメージを植えつけたのだと思う。

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目線はドライバーに向けられる。
「腕」は目には写るが、意識には登らない。上手い演出。
そして白いワンピース(!)、舞い上がる裾、防具の少ない服装、しっかりとヘルメット。
炎の模様の、異形の赤いカウル。

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何かが起こる予感。

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高度にコンピュータ化されたバイク。

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ギャーッ、バイクに腕が生えているっ!!!

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しかも、どんどんバイクを倒しこんで行く。
膝磨りを思わせる姿勢。
その割にはシートからお尻をずらさない。
そりゃそうだ。コレだけのカウンターバランサ(腕)を自動制御するのだから、ドライバーの体重移動は単なる「指令」や「トリガ」に過ぎないはず。
しかも転倒防止のアウトリガーを兼ねている。
正直言ってうらやましい。

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きれいにコーナを脱出。
左腕の動きが良い。「ガツンッ」とこないように「流して」いる。
このコマも空間が良い。

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ここまでで、十分に驚いてしまった。


そしてこのシーンで、やっと「人型」だとわかる。

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やっと安心するのだ。
「人型」さえ出てくれば、もうこっちのもんだ。
何しろ、着るタイプがクモ共と戦うために、軌道上から降下する数枚のイラストと長い文章に衝撃を受けた世代だ。
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アトムに始まり、ありとあらゆる「人型」を観て育った世代だ。
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巨大な紫色のやつが、街を蹴散らしながら走っていた。
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赤い肩の小さな緑色のやつは、地面を削りながら疾走していた。
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白いヤツが木馬から発進した世代だ。
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とにかくありとあらゆる種類の「人型」だ。

バイクに変形できる「人型」ね? 安心。

ロボットとしての RIDEBACK は、特別なものではない。
「人型」のそれが、様々な形態に変形することには、すっかり慣れている。

しかし、バイクに変形した後も「腕」を残したことに、設定の特徴がある。

しかも、原作とは表現のアプローチが逆なのだ。

原作の単行本第1巻の表紙は、先ず「人型」を見せている。

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アニメーションは、先ず「腕の生えたバイク」を見せている。

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この両者では、観る者が受ける印象がまったく異なる。




このオープニング映像は、個人的な経験に照らして感じるものがある。

闇を照らす明かり。
人工の明かり。
小さな明かり。
でも鋭い。

遠くの空は、少し明るい。
本物の光。
空全体を照らす大きな明かり。
しかし遠い。

RIDEBACK は、挫折 - 癒し - 再生 という普遍的テーマを素直に語っている。

間違いなく遠くの空は夕日ではなく、朝日だ。
再生の象徴だ。

ロケットに乗らない限り、朝日を早く迎えることは人間にはできない。
どんな早いバイクに乗っても、朝日を早く迎えることはできない。誤差の範囲だ。
旅客機だってたいしたことは無い。
人間は、朝日は待つことしかできない。
時間に任せるしかないのだ。

太陽は24時間以内に再び昇る。
しかし癒しはそう都合がよいものではなく、昇った後にも引っ込むことすらある。



周囲の景色を見ると、はじめは都市構造物が目立つが、次第にプラントや工業地帯を思わせる景色が現れる。

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日本で朝日が見えるのは、大雑把に太平洋側だ。

彼女は「もう桜が散ってしまった」少し南から来ているようだ。

標準語をしゃべる。
すなわち彼女は東京に住んでいる。
東京では、プロトコル=通信手段として標準語をしゃべる。
幼児期に初めて憶える、第一言語としての日本語(普通は方言)ではなく、あくまで通信手段としての言語。
だから「標準」語と呼ぶのだ。

自動車専用道・都市構造物・プラント・朝日を見つめる先には再び都市。

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そう、彼女は東京から横浜に向かって、早朝の湾岸線や横羽線を疾走していたのだ。

・・・・・朝帰りか・・・許さん・・・・・


彼女の目には、意思が宿っている。
しかし彼女は若い。若すぎる。
意思の力で、物事を変えられると誤解しているのだ。

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現実は違う。
誰かとの関係においては、自分の意思では、どうにもならないことが多すぎる。
自分自身のことにおいてすら、自分の意思では、どうにもならないことが多すぎる。

一方、彼女の挫折は自分自身に因るものであることを、彼女は理解している。
一番やりきれない状況だ。
誰かのせいにしても、決して解決できない挫折だから。




第1話

大学の部活の空気。
郷愁を誘う。

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そして、いやだいやだと言いながら人型に乗ってしまうのは、約束事となってしまったのか。
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白いワンピース、ピンクのカーディガン、低いヒール、長い黒髪、白いパ★ツに「人型」。

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このミスマッチ感は・・・・ヤバイ。




話は、回を重ねるごとに殺伐とした雰囲気が強くなる。

テロと紛争がストーリーの背景あるからだ。

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私の親の世代は、本物の戦争、復興、高度経済成長の世代。

私の世代は、強い輸出型鉱工業に金融とバブル経済の世代。

私の子供の世代は、低成長、地域紛争とテロの世代。

でも私の子供の世代は、強い武器を持っている。
移動体通信、世界規模のネットワークサービス、デジタルそしてエコだ。

私の子供の世代は、これらを完全にネイティブな状態で扱うことができる。
私の世代のように、64bitネイティブのOSが云々とかは、もはや関係ないのだ。

生まれた時の姿は、フィルムではなくメモリーに記録された。
歌って踊る姿も、デジタルの動画で記録されている。
おもちゃの電話は、すでに携帯電話の形をしていた。
初めての携帯電話は、汎用OSが搭載されているスマホだ。
facebookとTwitterのハウツー本を持っている。何時買った?
そして、物心ついたときからエコがそこにある。
ターボやインタークーラは、本来の開発意図に回帰していたのだ。


本当に未来の希望だと思う。

私の子供の世代は、その武器で、地域紛争とテロの世界を変えていくに違いない。

明るい希望だ。






私は、煙を吐く貿易センタービルの映像を衛星中継で観たが、無力だった。
私が不本意にも一線を退いた年だった。

私は、アルジェリアの事件でも、またしても無力だった。
本当の癒しはまだ訪れていない。

私は、少し感傷的になっているのだ。

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